土曜日日曜日と用事のついでに小さな散歩をする。土曜日は田町→赤羽橋→東麻布→麻布十番鳥居坂→六本木青山ブックセンター、で40分弱。日曜日は田端駅→小台→西尾久、で30分弱。どちらも急ぎ足だったらもう10分は短縮できそうな道を、脇にそれながらゆっくり歩く。
散歩は大好き。連続してゆきながら少しづつあっという間にどんどん変わってゆく町並みを見るのが好きだ。最近は上物の建物自体にはあまり興味がなくなっちゃって。土地の上下、それによって道が一本違うだけで全く違う顔をくるくる見せる。高さの変化と、道の分かれるところ、交わるところだけを拾って見ていったほうがよく全体を見渡せるときもある。点を座標軸で結んでいくよーな感じ。しっかし小台、西尾久と言ったらなんといってもこの街が生んだスーパースター!に思いをはせないわけにはいかない。そう、伊集院光ね。彼が通ったのかもしれない小学校の横も通った。

土曜日には道を見失ったおかげで偶然にも自分が通っていた高校のすぐ横の道を通る。裏手から眺める高校のコンクリートののっぺりとした灰色は、まるで工場のようにも見えた。鳥居坂という六本木駅からたった10分、3分でロアビルのある交差点に着く場所だというのにまるで別世界のように静かな通りに高校は面していた。(昔富田勲が住んでいたらしい)茶色いレンガ塀の高級マンション、教会、私立小学校、警察署があるその通りの沈んだ道徳臭さにどうしてもなれることが出来なかったのだけれど、久し振りに歩いてみて鳥居坂から猥雑な六本木の裏通りからきちんと道が続いていることを確認して、今まで腑に落ちなかったここの町並みの非連続性に思えていたものがするするととけてとても嬉しくなった。
六本木ヒルズが出来て少し街が臭くなくなった気がする。青山ブックセンターでspectator最新号、志水児王(本当にこの人のはかっこいいよなー)のインタビューが載っていたからART iT前号、秋田昌美のスカム・カルチャー(中古で買うのと同じくらい状態が悪くてムカッ!)を買う。帰りの電車の中で唇にヴァセリンを塗ろうとして指を口元までもっていってから、数学の授業中に同じようにヴァセリンを塗ろうとした瞬間に先生に突然低い声で怒られ、一番後ろに座っていた私に振り向いたクラス全員の目を思い出した。