それで、

起きてボーとしていたら元ヒステリック・ブルーの人だかが捕まったというニュースがかすみがかった目に入って一瞬で目が覚めたのだけれど、ヒステリック・ブルーというのは全く知らないに等しいのでどうでもいいんだけれど、これ、また都立大学での事件なんだよね。あのマーシー先生が事件を起こしたさ。通っていた公立の小学校が比較的この駅に近いのと、家から目黒方面に自転車で出ようとすると必ず通過する駅であり、なんだかんだでここ数週間週のうち二三日は通る。
この駅の不思議なところは、最寄りの商店街が二つもある、中心のない町だというところだ。東横線の中では乗降者数のかなり少ないほうだから、改札も一つしかない小さな駅。改札目の前の高架線下に古い東急ストア、改札出て右に行くと静かな古い住宅街の中に向かってものすごく小さな商店街がY字状に延びている。道幅の狭いにも関わらず抜け道として通る車の数が多いので、歩行者にはかなりきつい。その上駅まで徒歩だと20分以上という地域が多く存在するのでとにかく自転車の数が多い多い。ところがこれがまずいことに太い幹線道路の目黒通りと東横線が交差する地点から20mと離れていないところに駅が位置しているために駅周りのスペースが鋭角三角形の様な狭い形しか残されておらず、改札右の東横の高架線に遮られた静かな寂れた(けれども車の邪魔な)商店街とは打って変わって、左に行けばパチンコにマック、すぐ15mくらいで目黒通りとは直角にぶつかりかなり騒がしい。
反対に目黒通りの側から見ると、両側に「東横線沿いに住む」というイメージ的なマンションや趣味の良いお店が並ぶ中にその一角が覗いて見える様は何かが口を開けて待っているように見えてどきっとしてしまう。それには単純に見えるその景色だけではなくもう二つ理由があって、一つは目黒通りをまたいで別の商店街があるということ。それをたどってゆくと10分くらいで氷川神社という少し大きめの商店街に続くかつての参道のなごりな。その商店街の一番盛んな地点は今も昔も神社のすぐ近くの辺りなので、都立大学のすぐ近くの地点はお店もまばらであまり盛んではない。ちょっとこのあたりを歩けば長い長い一つの参道だったところの真ん中を目黒通りが分断してしまって、駅の近くに島のようにとり残されていることがすぐに分かる。もう一つの理由というのは町の容れ物はあるのに人が殆どただ通過していってしまう人の通過していってしまう町だということ。こうも駅として発展する可能性を断たれてしまった駅の卑屈ではない矮小さというのは、まるで人間のように不思議な離れがたい魅力を持っている。それは地元だということを差し引いてもそうで、私は一人でこの町にもし住んでいたなら、きっと離れることの出来ない。
とかついついそんなことを考えてしまったけれど、こういうニュースの形で、日ごろあまり顔のみえない都立大駅ユーザーの顔が見えると不思議な気分になる。捕まった彼も駅のすぐ裏の立ち食い焼鳥屋を利用していたりしたのだろうか。