土曜日六本木ヒルズ森美術館でのMOMA展にゆき、無料の目録の類が全くないことにちょっと腹を立て、2500円のカタログではなく美術手帖の去年の秋ごろのマシュー・バーニー特集のバックナンバーを買って帰ってくる。とても楽しくて1時間で出て来れるであろうところを3時間近くもじっくりと見てしまう。1〜6のパートわけがされていて、それぞれが単純な時代わけではなくいくつもの流れが並行してある形、つまり100年〜50年ほどの時間の経過がそれぞれにあるようになっていて、モダニズムを一つの時間軸で語るのではなく、いくつもの時間の流れが並行してそれぞれに影響をしあっているそのダイナミズムがよくわかるようになっている点はさすが。これでもか、これでもかというくらい豪華としか言い様のないMOMAの所蔵作品には目がくらみそうだった。デ・クーニングの作品のすぐ裏に、アンゼルム・キーファーがかかっていたのなんかとてもいい。それと同時に今MOMA級の大美術館が抱えている問題というのもよく見えたし、パート5、6にあったジェフ・クーンズやシンディ・シャーマンらのシミュレーショニズムなどの作品の薄ら笑いを浮かべたような行き詰まり感がなんだかとてもメランコリックに思えてしまった。それがわざとのディレクションの結果なのか、それともハウスでのサンプリングのような仕方で過去の歴史を乱暴に切り取ってくる彼らの作品が既に10年ほどの前の過ぎた、歴史に取り込まれたものとしてMOMAという大美術館のコレクションとして並んでいることからくるのかということまではちょっとわからない。