遅い電車で帰ってきて、週末の飲み終了後のたくさんの酔っ払いの間を抜けて家に帰る。家のすぐ近くで最近この辺りでよく見るホームレスのおじさんに会う(私の母親は彼のことを何ヶ月か前のSTUDIO VOICEの表紙のEYEちゃんに似ていると盛んにいっていたけれど全然、髪の毛しか似ていない)。多分2ヶ月くらいはこの町にいるのだけれど、今日はいつもいる銀行の前の自転車置き場のところではなく、やや離れたところを明らかに酔っぱらった足でうろうろとしているのが、遠目でも分かった。商店街のおじさんの話では、一ツ橋卒らしいのだけれど、私は何回かそのおじさんがかなり弁がたって頭がいい現場を見たことがあるので、あながちその一ツ橋卒というのも嘘だとは思えない感じもする。多分きっと、かつては家庭があった人なのだろう。よろよろの足で、シャッターの閉まった宝石屋の店頭でしきりに何かを気にしているふうだったのでそおっと後ろからのぞいてみる。するともうだいぶくもってしまった鏡でしきりに自分の格好を見ていたのだった。すれ違ったときに刺激臭が鼻をついた。あまりにその目がうつろだったので、それを思い出すと今日はなかなか寝れない。