倉橋由美子

autechre in Kawasaki

いくつか自分にとっての備忘として書き出しては見たものの、倉橋由美子さんがなくなってしまったことに最近で一番ショックを受けた。私はよく考えてみると、倉橋由美子以外のおんなのひとの小説というのはあまり好きではなくて、それはどうしてかというとすぐに肌感覚が強度(強さ)に寄り添ったものになってしまう文があまり好きではないからなんだな、と思う。そのてん、北園克衛のさくひんみたいな奇妙なバランスで成り立っている風通しのいい建築みたいな倉橋由美子の作品は、すごく、落ち着きがよかった。「パルタイ」みたいな極初期の屈折したイデオロギー指向をもち、屈託のある文章だってすごくいい。私にとって数少ない大事な作家だったな。残念です。